2010年8月16日月曜日

本州と九州を移動する生活。


こんな旅に出ておりまして、
さきほど、東京に戻って参りました、地理人です。。

この図にうすーく描かれている太字部分や太線部分が、実際に把握しているところで、
今回のルートが太いところです。


建物で埋め尽くされてその合間に人間がひしめく東京の風景を見るなり、
「厄介なところに来ちまった!」と思ってしまいましたが、厄介なところで生活してるんでした、私。

<写真>
 

写真左: 鹿児島から東京へ。一日で行くと速い。
写真右:「だりぃなぁ~」って言ってます。(@後楽園駅)

人と関わる機会は、断然ココ(首都圏)がよろしいのです。
しかし居心地が良いところ、根を張りたいところは、関東の外の、東京の影響を受けないところがベストです。
そんな私の、未来の「移動する生活」を、どうやって描いていくのか。
…つくづく今回、その理想は強く持たなきゃなと思いました。


本州と九州の「移動する生活」のレポートをば。
写真+簡単なコメントでサクっとお届けします。
…これも速く言いたいことをまとめる仕事の速さの一歩だったりして。。


●非日常(ハレ)と日常(ケ)が融合する街。

いやぁ、驚いた。
地元客向けの店(スーパーとかおもしろくない日用品が並ぶ商店街とか)と、観光客向けの店(おみやげセンター的な)って、大抵それらは別の場所にあるが、
尾道の商店街は、そのどちらでもない、でもどちらでもある、店が何店か並んでいる。

<写真>
 
 
極めつけは、ココ「大和湯」。

どう見ても銭湯。でもかき氷だけでなく、カレーとかケーキとか、ん…ホントに銭湯か?と思って中に入ってみる。
すると、瀬戸内のおいしい色んなものが、当たり前のように座って並んでいる。
そして奥の、浴場だったと思われるところが、カフェっぽくなっている。

きっと、安さと利便性を追求する「地元客向けの店の効率的なカタチ」ではない。
でも、観光客を相手にするには、雰囲気も、並んでいるものも地味。

おとなしいのか、賑やかなのか…? そのよく分からない感じが、またなんかそそられる。この店に限らず、この街の店が。

そんな空気にそそられて甘夏ジュースとかたこめし(←うまい)を買ってしまった。


瀬戸内は、柑橘からベリーから、どんな果物でもとれるそうで、
色んなジャムを作っているジャム屋で、鹿児島へのお土産のジャムを買う。

ジャム屋のおばさんが言うには、
「ずっと尾道にいる人は、昔と比べて寂れたと言うけれど、一旦外に出た人、外から来た人はこの街を魅力に感じる人が多いみたい。私も親の面倒を見に尾道に戻ってきたけど長いこと東京にいた。東京にいると、土も草も、全て買わなければならない。帰ってきて、雑草も、空気も、全て宝に見えた。」
とのこと。

分かる気がする。地元の人よりその街が好きになっていることが、本当に、よくある。


●本州と九州の割れ目で、寝転がってみる。

私のお気に入りスポット、下関市の唐戸市場。
本州と九州を行き来するときは、大抵下関を通るのだが、そうするとやはりここで一息つくことが多いのだ。

<写真>
 

本州と九州は、意外と近い。
歩けば15分、電車だと1駅(5分くらい)、船でも15分くらい…だっけ;

自分の居場所探しをするときに、境目というのは大変良い。
端っこ同士が隣り合い、隣り合って1つの都市圏を形成しているというミラクルが、また心地よい。だから何度も来てしまう。

そして、海を眺めながら、風に当たりながら、この絶景を前にウッドデッキで寝転がれる自由さも良い。
東京にいると、こういうのに飢える。
ついでに言うと、ココの魚もうまい。


●街は、実際に行ってみないと分からない。

<写真>
  

写真は福岡県飯塚市。元は炭坑で栄えた街。
この日は飯塚の後、唐津、佐賀にも行ったのだが、
この3つの街に共通するのは、大都市(=福岡)に対抗できるインパクトもなく、郊外の店舗に負けて、力を失っているということ。
8/13にも鹿児島県鹿屋市、宮崎県都城市を訪れたが、状況は似ている。

こういう街を紹介するとき、小さいものを大きく見せよう、というつもりはないのだが、
どうしても「良さ」を見つけたいと思う私としては、賑やかな面だけ切り取った写真を載せてしまおうかな…と一瞬思ってしまう。
しかしそれでは意味がない。後ろを振り返って撮った写真は全てシャッターが閉まってたりする。

本当の姿、地元の人が感じている街の姿を掴まないと意味がない。
そのため「街でもあるんだけど、でもシャッターも閉まっている」平均的な様子を伝えるべく、この2枚にしたが、
実際この様子を掴むには、行かないと分からない。

あと、郊外型ショッピングセンターですが、これも「商店街を衰退させた元凶」と決めつけるのではなく、
そのショッピングセンターに行って見ることが必要なのだ。

その街に住んでいるつもりで、商店街を見た後に、ゆめタウン(イオンでも)に行ってるのだ。
そこには、今まで手に入らなかったもの、そして洗練されたスタイル、雰囲気がある。
コレができたことで、この街も「田舎」を脱して都会を得た、そんな気がする。

もし自分が住んでいたら、新しい本が置いてある、そして専門書も揃う本屋があった方が良いに決まっている。
そんな便利なショッピングセンターの姿と、商店街の姿を忘れずに焼き付けて、
1時間ですっかり10年以上住んだつもりになって、次の街に向かうのだ。


●坂の町、長崎で暮らしてみる。

長崎を一望するなら、稲佐山の展望台が良いだろう。
しかしそこから見える景色は、長崎の日常から切り離された「Google Earth」的な視点から見る景色だ。

そこで見える景色は、数少ない平地に街が並び、斜面にも家が並んでいて、急峻な山とともにダイナミックな景色になっている絵だ。
そんな、絵として見ているだけではおもしろくない。せっかく目の前にはホンモノの坂の町があるなら、行かずにはいられない。

そんなワケで、稲佐山とは逆側の立山へ。

立山に至るまで、狭い、カーブが多い、上り坂の道が続く。
よりによって大型バスが、平気な顔をして登っていく。
わざとらしいアトラクションではなく、これが日常であり、本物なのだ。

「日常の1シーン」家並の上から見える長崎の町並みも、やはり魅力的だ。
坂の上と坂の下をつなぐ電線が、この街に人が住んでいる証拠だが、その線の角度は45度を越えている。

<写真>
 


山の上のバス通り沿いに、駐車スペースを浮かせて作り出している。
これは観光地の駐車場ではなく、住民の駐車場だ。
この車の持ち主は、さらにここから階段を数十段上り下りしたところに住んでいる確率が高い。
というのも、ここから坂の下まで、車道は一切ないからだ。

道も、十字路も、全て、階段。
おまけに、この世にいる間も、この世を離れても、ご近所さん。

階段だが、マンホールも、町名・番地のプレートもある公道。
よくある公道と違うのは、道幅が狭いことと、車が通れないこと。
おそらく、宅配便は大変だ。引っ越しは…もっと大変だ。
この、100段以上の階段を、タンスや机がどうやって通るのだろうか。でも、少なくとも、通ったことがあるハズだ。


●未来型百貨店…鹿児島。

鹿児島には「山形屋」(やまかたや)という百貨店があり、鹿児島県民の支持を集めた「地域一番店」になっている。
…というとかなり田舎臭いが、ルイ・ヴィトンやら何やらのブランドも入り、創業260年の歴史もあり、規模も大きい百貨店だったりする。

鹿児島には百貨店がもう1店あった。「鹿児島三越」だが、、山形屋との大きな差に追いつくことができず、二番店のままとうとう昨年閉店した。
その建物を改装して、今年5月「マルヤガーデンズ」が開店した。

マルヤとは、三越になる前の呉服店、百貨店のときに使っていた商号「丸屋」に起因する。ここで丸屋が復活したのだ。
しかし、昔のものが復活した、という騒ぎではない。

<写真>
 

ナガオカケンメイ・中原慎一郎をはじめとした新進気鋭のデザイナーと丸屋の社長が模索して作った「未来型の百貨店」なのだ。
ジュンク堂やファッション関連のテナントが入るテナントビルでもあるのだが、
各階にはワークショップや展示、期間限定ショップができる「ガーデン」と呼ばれるスペースがある。

第三の公共をカタチにしたといっても過言ではなく、
物欲と利益の軸とは異なる、新たな価値観を、場を提供する側と場に来た人が対等な立場で作っていく、そのカタチを模索した、
時代の2~3歩先を行くカタチを作ってしまった。

保守的なのか、流行に敏感なのか、どこに行くのか、流れ着くのか分からないまま、地元の人も気づかぬうちにかなり個性を出してしまった鹿児島の街。
そんなことを、地元の人が認識して、いつの間にかこの場を作る主役が増えていればな、と思う。


●火山と共に暮らす…鹿児島。

そんなマルヤガーデンズ4階には、全国の、そして鹿児島の良いモノを集めた「D&DEPARTMENT」というセレクトショップがある。
その中のあるコーナーの写真が左の写真。
一番上の、一番偉いところに掲げられているのが「降灰袋」…。

<写真>
 

これは、鹿児島の日常生活では当たり前のように見るものなのだ。
市街地から5kmくらいのところに、火山がある。しかも、活火山で、噴火する。
噴火すると、火山灰が降ってくる。雨のように、灰が降ってくる。

「今日の天気は、灰。」
…冗談じゃない。天気予報でもそう言うのだ。

そして厄介なのが、灰が降った後。屋外に駐車している人はまず洗車が大変。
そうでなくても、土にとけ込む訳ではないので、灰を掃除する必要がある。

そんな訳で、市内の住宅地には必ず「宅地内降灰指定置場」がある。
ゴミ置き場と同じくらい街のいたるところにあるが、灰を集めるおじさんは、ゴミ収集とは違うおじさんなのだそうだ。

あの店の一番偉いところに「降灰袋」を掲げる気持ちは、私はよく分かる。
この様子、そしてこの「灰」置き場の看板は、とても普通とは思えない。しかも、火山が噴火している絵に大きく「灰」と書いてあるから、結構恐い。
しかし、地元の人は、何のおかしさも感じずに、灰をせっせこ集めて灰置き場に置く。

この灰置き場は祖母の家の前で、置いてある灰は祖母が集めたものなのだが、
私が祖母に「降灰袋」をお土産にもらいたい、と言うと、「なんで?」という顔をしながら、笑って私に渡してくれたのだった。


●意外な収穫物。

地方に行くと、品揃えは良いけども残念ながら人が入っていない店によく巡り会う。
んー、応援したい!という訳で、地方では財布のひもは緩む。特に、本。
もらってきたパンフレット、もらった本と併せて、今回調達した本は以下の通り。ドドーン。

<写真>
 


そして写真右は、マルヤガーデンズの古本市で発見した住宅地図。1963年のもの。
「今和泉」宅がある。父親は右下のほうの「今和泉」宅で、左上の今和泉宅は親戚だったのだとか。
この住宅地図で、母方、母方の親戚と、ひとしきり話が持ちましたとさ。

さて、この先も、本州と九州を移動しながら、移動する日常を、自分の生活にしていきましょう…っと。
自分の生活作り、どこから手をつけていこうか……!!

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